(インタビュー)
Q. 居合道を始めて、続けていてよかったこと、効果みたいなものはありましたか?
( 錬士七段、50代男性剣士)
【居合の効能】
A. 居合の技の動きには、上下・前後・左右・伸ばす・曲げる・ひねる等の動きがすべて含まれています。まず、日常生活では、動かさないであろう方向まで含まれていますので、技を覚えていくことは、自然と身体全体を動かすことになります。
そして、段位が上がってくるに従い無駄の少ない効率の良い動きにつながっていて、身体全体を使う自然な動きになっていきます。
また、居合は、とっさの時にどう身体に負担なく素早く動けるようになるか、そして、呼吸や循環、集中力はもちろん、重い刀を振ることで、バランス能力の向上にも役立ち、また自分自身の身体のいろいろな部位を意識して使うようになることも、居合ならではの特徴だと考えています。
さらに、稽古以外の場面でも感じるのが、昇段審査や試合場面での、自分を“視られる”“評価される”という環境に身を置く経験、試合での"勝負"という緊張感を味わえる経験、これらは普通に生活しているだけでは、なかなか得難い体験であり、精神作用に効するものであると思います。
居合を修練していくということは、利便性・簡易性を求められ、身体的にも精神的にも偏重をきたし即物的になってきてしまっている現代社会において、今一度、日本人に合った身体能力・精神力を取り戻すきっかけ与えてくれる武道であり、日本の文化を見直す端緒でもあると考えています。
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