(インタビュー)
Q. これから居合を始めようとしている、居合初心者の人達に対して、昇段や段位ごとに感じてきたことや、これからの居合人生について教えてください。
( 錬士七段、60代男性剣士)
A.
------ ある高段者の段位ごとの思いと振り返り --------
<段外から初段> この時期は、ひたすら師匠の模倣を繰り返し、技の“段取り”を覚えるのに必死でした。型の理合(想定)を教わるのですが、頭で分かっていてもなかなか体がついていかず、正直、ゆとりがなかったな、と思います。一方で、一つ一つ技を覚えていくのは実に楽しく、正座からの動き、立膝からの動き、立ち技での体捌きなど日常ではほとんど使わないような動きが新鮮で、また、刀の重さにもだんだん、なじんできます。
<弐段から三段> この時期になると、今度は、一つ一つの技・動きに、いろいろ疑問が出始めてまいりました。その都度、師範に質問し、あるいは稽古の途中で話されたことから自分の動きに応用し、うまくいかないとまた指摘を受け、さらに悩みと、次から次と自問自答をし、稽古の復習をし、と、自分で考えることが、非常に増えた時期でもあり、できた時の達成感を多く感じられてきます。このころから、大会でも少しずつ結果が伴うようになってまいりました。
<四段から五段> この時期には、真剣を手に入れての稽古、今までの模擬刀との差を実感した時期でもあります。確実に、気を抜くと怪我につながる緊張感も増し、私自身も何度か怪我を負っていますが、その分、本物に近づけた喜びもひとしおです。
そして、目付、理合、運剣、体動を一致させて、いかに、無駄のない動きに近づけていくかの課題に、稽古の中でようやく取り組める余裕が出てきたように感る時期でもあります。また、大会では、同段位の他支部の剣士の人たちと、いろいろな意味で刺激し競い合えるようになり、自分の居合の“かたち”を意識し始めてきたのもこの頃です。
<六段から錬士> この時期になりますと、他の会員に指導を当たることが稽古中でも増えてまいりまして、これが、非常に自身の居合に影響が出てきております。それまであいまいにやり過ごしていたことに、改めて気が付かされ、それを元に自身の稽古も丁寧さ、正確さも意識した動きになっていったと思います。質問されると、果たして自分の時はどうだったか?基本を振り返る、よい機会にもなっていました。
<7段、そしてこれから>
今は、いかに無駄なく、時に静かに、時に激しく、“序破急”の世界にいかに近づけるか、自分の居合を見た人に、いかに感動を与え興味を持ってもらえるか、大それた考えのもと、さらに稽古に励んでおります。
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